「ダイバーシティ」、日本語に訳すと「多様性」という言葉。今でこそ見聞きする機会も以前に比べ多くなってきましたが、意味はよく知らないという方も多いのではないでしょうか。ここでの「多様性」は、人種、出身、宗教、性別、年齢、性的指向、障害の有無など、個々人が持つあらゆる面について言及されるものです。 かつては学習・就業機会を奪われるどころか、時には生命を脅かされてきた立場の人々であっても、それぞれの持つ特徴や個性、考え方を活かし、能力を発揮できる環境を整えることで、経済活動における貴重な戦力として迎え入れられる、という考えにシフトする企業は、21世紀に入って以降、欧米を中心に急速に増加しています。近年は日本国内でも、ダイバーシティに注目した就職・転職説明会が開催されたり、多様性の尊重を大きくアピールする企業がメディアで取り上げられたりするなど、少しずつではありますがビジネスの場に浸透しつつあります。
残念ながら日本のダイバーシティ受け入れ状況は、欧米に比べると全体的に遅れていると言わざるを得ません。国内での対応は欧米系企業を中心に、先進的取り組みに積極的な国内大手企業が続く、という格好です。特に業種にもよりますが、伝統ある国内大企業ほど消極的な傾向が強く、それゆえ外資系企業に活躍の場を求めるマイノリティも多くいます。 しかし、旧来の価値観ではマイナスと扱われてきたものが、これからの時代は逆に大きな武器になるという見方もできます。根底にあるのは「みんな違って当たり前」という考えです。自社にも顧客にも取引先にも「多様性」が存在すれば、それはもはや特殊なケースではありません。もちろん事情に合わせた配慮は必要ですが、一緒に働く仲間が少しでも新しい考えや視点を持つことで、企業活動の幅はぐっと拡大するでしょう。そうした中で広く社会の信頼を得ることが、企業全体の次のステップへの成長へと繋がります。